(1) 会社設立のメリット、デメリット

 メリット

デメリット 

対外的信用力の上昇 設立費用の発生

所得税と法人税の税率差

を活用した節税

赤字でも最低7万円の税金

が生じる

生命保険の活用 交際費が制限される 
退職金の支給

申告作業が複雑になるため

税理士費用が発生する

青色欠損金の7年繰越 社会保険への強制加入
減価償却の任意計上

役員の改選登記が必要

(2年から10年に一度)

資本金が1,000万円未満で

あれば、設立から2年間

消費税が免除

 
事業承継・相続対策での活用  
資金調達がしやすい  

(2) 設立時に有利になる税務のポイント

 ① 個人事業主で、年間所得(売上-経費)が600〜700万円以上であれば

   法人設立を検討する。

    まず、法人税と所得税の税率構造の違いをご確認ください。

    法人税(資本金1億円以下の場合)

所得金額                   税率 
800万円以下  18% 
800万円超 30%

    所得税

 所得金額 税率   控除額
195万円以下  5%   0円
195万円超 330万円以下 10% 97,500円 
330万円超 695万円以下 20%  427,500円 
695万円超 900万円以下 23%  636,000円 
900万円超 1,800万円以下 33%  1,536,000円 
1,800万円超 40%  2,796,000円 

   ご覧の通り、法人税は800万円で一段階上がりますが、所得税は

  6段階刻みで税率が上がります。

   所得税は利益が上がれば上がるほど税金が多くなる仕組みになっています。

   個人の方につきましては、利益の状況や、扶養親族の構成等により、一概

  には言えませんが、一つの目安として、所得が600万円から700万円以上

  になった場合には、一度、法人の設立をご検討されてはいかがでしょうか。

② 青色申告の承認申請書は必ず提出する。

    青色申告のメリットは様々ありますが、中でも、『欠損金の繰越控除』

   の適用は、設立時には欠かせません。

    例えば、このような会社があったとします。

    第1期目 100万円の赤字 第2期目 150万円の黒字

    ・青色申告をしている場合の税金

    第1期目 7万円 

    第2期目 (150万円-100万円)×40%=20万円

    ・青色申告をしていない場合

    第1期目 7万円

    第2期目 150万円×40%=60万円

    ※青色申告を選択していると、1期目の赤字と2期目の黒字を相殺

     して、2期目の税金を計算することができます。設立1期目は初期

     投資が多く、赤字となる可能性が高いので、ぜひ、青色申告を申請

     しましょう。    

 ③ 設立時の資本金は1,000万円未満(1,000万円は含まれません)にする。

    設立時の資本金が1,000万円未満の場合、消費税の納税が免除

   されます。

    これを活用して、個人から法人へチェンジすると、最大4年間消費税

   が免除されます。  

 個人1年目 個人2年目  個人3年目 
 売上1,500万円 売上1,800万円  売上2,000万円 
 消費税なし 消費税なし  消費税あり

個人3年目に資本金500万円で法人設立

 個人1年目 個人2年目  法人1年目  法人2年目 
 売上1,500万円 売上1,800万円  売上2,500万円  売上3,000万円
 消費税なし 消費税なし  消費税なし 消費税なし

消費税のみを考慮して、法人成りを行う事はお勧め致しませんが、

ひとつの方法としては有効な手段と考えられます。

 ④ 設立日から最初の決算日は長めに設定する。

    ③では、資本金1,000万円未満で、消費税が2年間免除されると

   記載していますが、厳密には、2事業年度が正しい表現です。

    つまり、4月1日に設立した法人は、決算日を5月31日にするより、

   3月31日にした方が、第1期目の事業年度が長くなるので、消費税の

   免税期間が最大限活用できます。

 ⑤ 源泉所得税を半年ごとに納めれるように届出を行う。

    従業員の方に、お給料を支払う場合、源泉所得税を差し引いて

   支払います。

    額面30万円 源泉所得税5万円 本人への支給額25万円の場合、

   25万円は本人へ支払いますが、残りの5万円は、従業員の方の代わ

   りに会社が税務署へ支払うことになります。

    原則、9月中に支払った、お給料に対する源泉所得税は翌月の10日、

   つまり10月10日までに税務署へ支払うことになりますが、これでは、

   毎月の作業が大変です。

    そこで、従業員が10人未満の会社は、次のように半年分まとめて支払

   うことができます。

    1月〜6月分⇒7月10日

    7月〜12月分⇒翌年1月20日

    この適用を受けるには、適用月の前月末日までに、『源泉所得税の

   納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期

   限の特例に関する届出書』を提出する必要があります。

    ものすごく長い名前ですが、事務作業の効率化のため、ぜひ、提出

   されることをお勧めします。

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高松市の税理士、川上智也税理士事務所(会計事務所)です。高松市、坂出市、丸亀市等を中心に税理士として活動しております。法人の決算、個人の確定申告などの基本業務はもちろんのこと、会社設立、医療(医療法人、個人診療所)、相続・贈与など、税金や会計に関することは当税理士事務所(税理士会 高松支部所属)にお任せください。