(1) 交際費の一部が経費にならない

   個人形態の場合、税務調査では個人的な経費であるか否かの厳しい

  チェックがありますが、事業に直接関係する交際費であれば全額経費に

  なります。

   しかし、医療法人の場合は全額を経費とすることはできません。

   ただし、出資金が1億円未満の法人は、年600万円までのうち、90%の

  540万円まで経費算入が認められます。

(2) 社会保険への加入

   個人事業においては従業員が5人未満である場合、社会保険の加入の

  義務はございませんが、法人の場合においては従業員の人数に関係なく、

  強制加入の対象となります。

   社会保険に加入するということは、法人に於いて従業員の社会保険料

  にかかる事業主分が負担増となります。

   反面、優良な人材の確保がその分容易なることも考えられます。

   ただし、個人事業でも従業員が5人以上であれば、社会保険の強制加入

  となることに注意が必要です。

   ◎ 医師の場合、個人事業であれば医師国保、歯科医師国保に加入でき

     ます。

     ⇒ 存在しない都道府県もありますので、必ず加入できるとは限りま

      せん。

       医師国保の場合、通常の国保と違い収入により保険料が上下する

      ことがありません。保険料は、一人当たりいくらと定められていますの

      で、通常の国保と比較して保険料が割安になることが多いです。

       よって、現在医師国保に加入していない院長先生は、必ず加入でき

      る医師国保がないかを確認してください。なお、個人事業から法人成り

            して医療法人になる場合でも、個人時代に医師国保に加入している

           場合は、医療法人になった後でも、引き続き医師国保に加入ること

           が出来ます。

         医療法人になった後に、初めて医師国保に加入しようとしても認めら

           れませんの注意が必要です。

             この場合は一般の会社と同様に、健康保険(社保)に加入すること

           になります。よって、医療法人化を考えられている院長先生で、

           医師国保に入っていない先生は、医師国保に入った後に医療法人

           化した方が、保険料の節約になります。

             なお、 医療法人化した後の年金は、国民年金ではなく厚生年金

           になりますので、この点については一般の会社と変わりません。

(3) 法人のお金を院長が自由に使う事が出来ない

    理事長と医療法人は、人格が異なるため、理事長でも法人のお金を勝手

      に使用することはできません。もし、個人の資金繰りのために医療法人から

      借りた場合には利息を付けて返済しなければならなくなります。

    法人から見た場合、理事長が個人的に使ったお金は、貸付金若しくは

      役員賞与(経費にならない)と認識されます。

(4) 手続きが煩雑

   設立手続き、決算後の届出・登記など、法人の場合は、面倒な届出等が

    発生します。

      具体的には、定期的に社員総会を開催し、その議事録を作成し、決算

  事業年度終了後に決算の届出、及び、総資産の変更登記、並びに、変更

    登記にかかる官庁への届出が必要となります。

   また、定款の記載事項に変更があった場合(例えば、診療所移転など)に、

  都道府県知事へ申請し、その許可を得なければならないなど、管理業務

    の負担が増加します。

(5) 配当の禁止による出資金評価の増加(出資限度額法人を除く)

   医療法人は株式会社と違って、利益が出ても配当することが出来ません。

   したがって、利益が医療法人に留保されるため、その分相続財産としての

  出資持分の評価額が大きくなりやすく、医療法人の出資金という換金性の低

  い相続財産が膨らみがちになります。

   ただし、クリニックである医療法人の規模であれば、毎月の役員報酬や

    役員退職金などの支給額で、出資金が膨らまないようにコントロールする

    ことは可能です。

  ◎ 現存する医療法人の大部分が、持分ありの医療法人ですので、出資金

       が大きくならないように早めの相続対策が必要です。

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高松市の税理士、川上智也税理士事務所(会計事務所)です。高松市、坂出市、丸亀市等を中心に税理士として活動しております。法人の決算、個人の確定申告などの基本業務はもちろんのこと、会社設立、医療(医療法人、個人診療所)、相続・贈与など、税金や会計に関することは当税理士事務所(税理士会 高松支部所属)にお任せください。